生産性向上推進体制加算は、見守り機器やインカムなどのテクノロジーを入れ、委員会で業務の見直しを続け、そのデータを国に出している事業所を評価する加算です。2024年度の介護報酬改定で新しくでき、(I)は月100単位、(II)は月10単位です。
この記事では、(I)と(II)の要件の違い、要件にある「見守り機器」「インカム等」「介護記録ソフト」の定義、算定までの流れを、厚生労働省の通知にそって分かりやすく整理します。
生産性向上推進体制加算とは、どんな加算か
| 項目 | 中身 |
|---|---|
| 単位数 | (I)100単位/月、(II)10単位/月。同時には算定できない |
| 対象 | 短期入所系・居住系・多機能系・施設系のサービス(短期入所系・居住系・多機能系は介護予防も含む)。グループホームも対象 |
| 評価すること | テクノロジーの導入と、委員会での業務改善の継続、データの提出。(I)はさらに成果が出ていること |
| 始まった時期 | 2024年度(令和6年度)の介護報酬改定 |
厚生労働省の資料によると、グループホームでの算定の割合は(I)が0.9%、(II)が17.5%です(2025年10月サービス提供分、事業所ベース)。まず(II)から始め、成果を確かめて(I)に進むのが一般的な順番です。
加算(I)と(II)の要件は、何が違うのか
| 要件 | 加算(II) | 加算(I) |
|---|---|---|
| 委員会 | 安全対策や負担軽減を検討する委員会を3か月に1回以上開き、生産性向上ガイドラインに基づく改善活動を続ける | 同じ |
| テクノロジー | 見守り機器・インカム等・介護記録ソフトなどのうち1つ以上 | 3つすべて。見守り機器は全居室、インカム等は全介護職員 |
| データの提出 | 1年に1回、オンラインで提出(3項目) | 1年に1回、オンラインで提出(5項目) |
| 成果 | 求められない | 利用者の生活の質が保たれたうえで、業務時間や残業が減り、有給休暇の取得が保たれていることをデータで確かめる |
| 役割分担 | 求められない | いわゆる介護助手の活用など、職員間の役割分担に取り組む |
(II)でインカム等を選ぶ場合は、同じ時間帯に勤務する介護職員の全員が使うことが求められます。提出するデータは、(II)が利用者の生活の質(WHO-5など)・業務時間・有給休暇の3項目、(I)はこれに職員の心理的負担(SRS-18)とタイムスタディを加えた5項目です。
要件の「見守り機器」「インカム等」「介護記録ソフト」とは何か
| 機器 | 通知での定義(要約) | 当たるものの例 |
|---|---|---|
| 見守り機器 | 利用者がベッドから離れようとしている状態、または離れたことを感知できるセンサーで、その情報を外部通信機能で職員に通報できるもの | 離床センサー、体動センサー、天井のセンサー・カメラで離床を検知するもの |
| インカム等 | インカム(マイクロホン付きのイヤホン)など、職員間の連絡調整を速くするICT機器。ビジネス用のチャットツールの活用も含む | インカム、LINE WORKS・Slack などの業務チャット |
| 介護記録ソフト | 介護記録ソフトやスマートフォンなど、記録の作成を効率化するICT機器。入力から記録・保存・活用までを一体で支えるものに限る | 介護記録ソフト、記録用のタブレット・スマホ |
利用者が押して職員を呼ぶナースコールのボタンは、このどれにもそのままは当たりません。見守り機器は「本人が押さなくても、離床を感知して知らせるもの」です。見守り機器の種類は介護施設の見守りセンサーの選び方、インカムと業務チャットの使い分けは介護施設にインカムは必要かで書いています。
算定までは、どう進めるのか
委員会をつくる
安全対策と職員の負担軽減を検討する委員会を設け、3か月に1回以上開く。いまの業務の困りごとを洗い出す
テクノロジーを選んで入れる
(II)なら1つ以上。どの機器が要件に当たるかを、導入前に確かめる
体制を届け出る
所管の自治体に、加算の体制を届け出る
データを取って出す
1年に1回、実績を電子申請・届出システムで報告する
成果を確かめて(I)へ
業務時間や有給休暇の変化を見て、3つの機器と役割分担がそろえば(I)を検討する
導入の費用には、都道府県の「介護テクノロジー導入支援事業」などの補助が使えることがあります。対象になる機器や補助率は自治体ごとに決まっているため、要綱で確かめてください。
業務チャットで、呼び出しと連絡をひとつに
ソクラクのナースコールは、電池式の呼び出しボタンから、LINE WORKS・Slack・Teams・LINEに呼び出しを届けます。職員どうしの連絡と同じ画面で受けられ、いつ・どの部屋から呼ばれたかが自動で残ります。
- 配線工事なし。受信機を施設のネット回線につなぐだけ
- 初期費用は10部屋・1フロアで32万円〜、月額は基本利用料1万円+ボタン数に応じた利用料(税別)
ソクラクのボタンは、加算でいう「見守り機器」(離床を感知するセンサー)には当たりません。加算の要件に当たるかは、所管の自治体にご確認ください。
よくある質問
生産性向上推進体制加算は、何単位ですか
加算(I)が1か月に100単位、加算(II)が1か月に10単位です。(I)と(II)を同時に算定することはできません。
加算(II)は、見守り機器がなくても算定できますか
できます。(II)は、見守り機器・インカム等・介護記録ソフトなどのうち1つ以上を入れていれば足ります。インカム等を選ぶ場合は、同じ時間帯に勤務する介護職員の全員が使うことが求められます。委員会の開催とデータの提出は、どの機器を選んでも必要です。
業務用のチャットは「インカム等」に入りますか
厚生労働省の通知では、インカム等の定義に「ビジネス用のチャットツールの活用による職員間の連絡調整の迅速化に資するICT機器も含む」とあります。実際に要件を満たすかは、使い方も含めて所管の自治体に確かめてください。
導入前のデータが無くても、加算(I)は算定できますか
(I)は、(II)の要件で取ったデータで成果を確かめることが求められます。導入前のデータが無い場合の扱いは、厚生労働省の介護報酬改定に関するQ&A(Vol.5 問12)で示されています。まず(II)でデータを取り始めるのが確実です。
関連ページ
参考:厚生労働省「生産性向上推進体制加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例等の提示について」(令和6年3月15日 老高発0315第4号、3月29日改正)、「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」、令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.5)、社会保障審議会介護給付費分科会資料(2026年5月25日)(2026年10月27日確認)。

