小児科クリニックの開業|収支の実態と、季節の波・感染対策の動線・立地

小児科クリニックの開業|収支の実態と、季節の波・感染対策の動線・立地(ソクラクのコラム/クリニック開業)

小児科を掲げる一般診療所は、令和2年の18,798施設から令和5年の17,778施設へ、3年で1,020施設減っています。収支を見ても、小児科クリニックの医業収益は前年度から1割以上下がりました。数が減るということは、通える範囲に小児科が少ない地域が広がりうる、ということでもあります。
この記事では、厚生労働省の医療経済実態調査から小児科クリニックの収支を読み、季節で変わる患者数への備え、開業費用と物件の考え方を整理します。

目次

小児科クリニックの収支は、どれくらいなのか

入院のない小児科クリニック1施設あたりの、1年間の数字です(令和6年度にあたる期間。千円単位の数値を万円に四捨五入しています)。

項目個人の開設医療法人の開設
医業収益1億1,956万円(前年度比 −12.4%)1億4,679万円(前年度比 −11.8%)
給与費3,146万円7,590万円
医薬品費2,323万円2,339万円
減価償却費494万円392万円
損益差額3,729万円697万円
損益率31.1%(前年度 39.9%)4.7%(前年度 17.4%)
集計した施設数2986

医業収益は個人・法人とも前年度から1割以上下がり、損益率も大きく下がっています。年によって患者数が大きく動く診療科だと考えて、収支の計画には幅を持たせておきます。個人の給与費には院長自身の報酬が入っていないので、個人の損益差額は「院長の取り分・税金・借入の返済」の原資で、法人の数字とはそのまま比べられません。

季節で変わる患者数に、どう備えるのか

小児科は、感染症がはやる時期と落ち着く時期で外来の数が大きく変わります。少ない時期にも回る形を先に作っておくのが、開業の計画で効いてきます。

備え中身
予防接種と健診季節に左右されにくい診療。予約の枠を決めて、一般外来と時間や場所を分ける
人の配置忙しい時期に合わせて常勤を増やしすぎない。パートの組み方で幅を持たせる
運転資金少ない月が続いても家賃と人件費を払えるだけの余裕を、開業資金に入れておく
ワクチンの在庫仕入れと保管(冷蔵庫と温度の記録)。在庫を持ちすぎない発注の仕方

小児科の開業費用は、何で変わるのか

小児科は大型の機器が中心の診療科ではありません。費用は感染症の患者さんを分ける動線と、子ども連れで使いやすい作りで変わります。

決めること費用に効くところ
待合と入口を分けるか発熱や感染症の子と、予防接種・健診の子を分ける部屋や入口。間取りと工事
隔離の部屋診察を待つあいだの個室の数
子ども連れの動線ベビーカーで入れる入口、授乳とおむつ替えの場所
院内でする検査迅速検査や血液検査を院内でするか、外に出すか

資金の全体像と運転資金の見積もり方はクリニックの開業資金、物件の確かめ方はクリニック開業の物件の選び方にまとめています。

一般社団法人での小児科の開設を、設計から保健所まで一緒に進めます

小児科は、患者数の多い月と少ない月の差を前提に資金を組みます。エリア・動線の分け方・開設のかたちが決まれば、大枠は出せます。

  • 無料相談のなかで、大枠の試算をお出ししています
  • 一般社団法人で開設する場合の、法人まわりの費用も含めて見ます
  • 物件・内装・機器は、それぞれ得意なパートナー会社をご紹介します

クリニック開業支援について見る

開業すると決めていない段階でも構いません。

小児科の立地は、どう考えるのか

子育て世帯が多く住む地域で、車やベビーカーで来やすいことが前提です。駐車場の有無も効きます。小児科は減っているので、近くの小児科が閉じた地域では必要とされることもあります。医師が特に多い地域で無床の診療所を開く場合の事前届出はクリニックの開業規制に書きました。

小児科を一般社団法人で開設すると、何が変わるのか

小児科でも、一般社団法人を開設者にできます。違いが出るのは診療の中身ではなく、開設の手続きと、その後の動かしやすさです。

項目一般社団法人で開設すると
開設の手続き開設の前に保健所の許可を受ける(個人で開くなら開設後10日以内の届出)。保健所は法人の非営利性も確かめる
代表者と管理者代表者に医療の資格は要らない。管理者は医師(歯科は歯科医師)
拠点と承継院長が替わっても開設者は法人のまま。分院や承継を前提に設計しやすい

小児科は、地域で長く続くことが求められる診療科です。院長が替わっても法人として診療を続けられる形は、その備えになります。医療法人との違いは一般社団法人と医療法人の違い、弱いところは一般社団法人でクリニックを開くデメリットにまとめています。

よくある質問

小児科の開業資金は、いくらくらいですか

公的な統計で、小児科の開業資金の相場を示したものはありません。待合や入口をどこまで分けるか、居抜きかスケルトンかで変わります。患者数が少ない月が続いても耐えられる運転資金を、多めに見ておくのが小児科の特徴です。

小児科は減っていますが、いま開業しても大丈夫ですか

小児科を掲げる診療所は3年で1,020施設減り、収益も前年度から下がっています。数が減るぶん、通える範囲に小児科が少ない地域もありえます。開業する地域の子どもの数と、通える範囲の小児科の数を見て判断します。

内科と小児科を一緒に掲げてもよいですか

掲げることはできます。ただし、子どもと大人で待合や動線をどう分けるか、どちらを中心にするかで、間取りと人の配置が変わります。内科の開業の考え方は内科クリニックの開業にまとめています。

関連ページ

参考:中央社会保険医療協議会「第25回医療経済実態調査(医療機関等調査)報告」(令和7年実施)一般診療所・主たる診療科別の損益状況(入院診療収益なし、集計2)、厚生労働省「令和5年医療施設(静態・動態)調査」表6(2026年10月30日確認)。

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