一般社団法人で歯科医院を開設することは、できます。開設者は法人で、代表者に歯科医師の資格は要りません。動かせない条件は2つです。管理者は歯科医師であること(医療法 第10条)と、開設の前に許可を受けること(同 第7条)。
この記事では、一般社団法人で歯科医院を開設するまでの流れ、個人開業・医療法人との違い、歯科で先に決めておくことを、実際の支援事例とあわせて整理します。
一般社団法人で、歯科医院は開設できるのか
できます。医療法では、歯科医師でない者(法人を含む)が診療所を開設するときは、開設地の都道府県知事(保健所を設置する市・特別区では市長・区長)の許可を受けることになっています。許可の条件として押さえておくことは次の3つです。
| 条件 | 中身 | 根拠 |
|---|---|---|
| 開設前の許可 | 法人が開設者になるので、開設の前に許可を受ける | 医療法 第7条第1項 |
| 管理者は歯科医師 | 歯科医業をする診療所は、臨床研修を修了した歯科医師に管理させる | 医療法 第10条 |
| 営利を目的としない | 営利を目的として開設しようとする者には、許可を与えないことができる | 医療法 第7条第7項 |
一般社団法人は利益を構成員に分配しない法人なので、3つめの条件と相性がよいかたちです。ただし保健所は、定款の文言、社員と理事の構成、資金の流れから非営利性を確かめます。ここを最初から説明できる形にしておくのが、一般社団法人で開くときの要です。
開設までは、どんな流れで進むのか
| 段階 | やること | 出す先 |
|---|---|---|
| 1. 法人の設計と設立 | 定款(目的・非営利性)、社員と理事の構成を決め、定款の認証と設立登記 | 公証役場・法務局 |
| 2. 事前相談 | 物件の図面を持って、構造設備と法人の体制を相談する | 保健所 |
| 3. 開設許可の申請 | 内装の完成前後に申請。許可を受けてから開設する(申請書に書くこと) | 保健所 |
| 4. 開設後の届出 | 診療所の開設届(開設後10日以内)、エックス線装置の届出(備えてから10日以内) | 保健所 |
| 5. 保険医療機関の指定 | 指定を受けたい月の前月の締切までに申請 | 地方厚生局 |
法人を作る法定の費用は、定款の認証が5万円、設立登記の登録免許税が6万円です。許可の運用や添付書類は自治体ごとに違うので、管轄の保健所で最新の手引きを確かめてから動きます。手続き全体の逆算のしかたはクリニック開業の流れとスケジュールにまとめています。
個人開業・医療法人と比べて、歯科では何が違うのか
| 項目 | 一般社団法人で開設すると |
|---|---|
| 代表者の資格 | 歯科医師でなくてよい。管理者に歯科医師を置く |
| 開設までの期間 | 登記で設立でき、医療法人の認可の順番待ちがない。最短3.5〜4か月 |
| 管理歯科医師の交代 | 開設者は法人のまま。個人開業のように診療所を開き直す必要がない |
| 分院・承継 | 複数の医院や、院長が替わったあとの継続を前提に設計しやすい |
| 保健所での確認 | 構造設備に加えて、非営利性(定款・役員構成・資金の流れ)を見られる |
保険診療が中心で、歯科医師ご本人が医療法人の認可を待てるなら、医療法人のほうが後の手数が少ないこともあります。どちらを選ぶかの目安は一般社団法人と医療法人の違い、一般社団法人の弱いところは一般社団法人でクリニックを開くデメリットに書きました。
一般社団法人での歯科医院の開設を、設計から保健所まで一緒に進めます
定款の文言、非営利性の担保、社員と理事の構成。そして保健所とのやり取りと、開設までの進行管理。ここがソクラクの中心です。
- 医療経験のない法人代表の方が、一般社団法人で歯科医院を4ヶ月で開業したご支援があります
- 歯科特有の設備・機器の選定もご相談いただけます(調達はパートナー会社をご紹介します)
- 登記・許可申請の書類・税務・労務は、提携する士業が担当し、当社が全体をまとめます
管理歯科医師がまだ決まっていない段階でも構いません。
歯科で、先に決めておくことは何か
法人の設計と並行して、歯科ならではの決めごとを進めます。どれも物件の条件と開業資金に直結します。
| 決めること | なぜ先に要るか |
|---|---|
| 管理歯科医師 | 誰が管理者になるかが決まらないと、許可の申請に進めない |
| ユニットの台数 | 1台ごとに給排水・圧縮空気・吸引の配管が要り、物件の床の条件が決まる |
| エックス線の種類 | パノラマや歯科用CTまで置くかで、遮へい工事と届出が変わる |
| 技工の持ち方 | 外注か院内か。院内なら技工室と技工士が要る |
歯科医院の収支(個人の医業収益は年5,219万円、損益差額は1,562万円)や、ユニット台数の決め方は歯科医院の開業にまとめています。
実際に、一般社団法人で歯科医院を開いた例はあるのか
あります。ソクラクでは、医療経験のない法人代表の方が、一般社団法人で歯科医院を4ヶ月で開業したご支援をしました。保健所への申請から内装、スタッフの採用までを支援し、歯科ユニットやレントゲン設備の選定にも助言しています。歯科特有の機器や材料の卸会社をご紹介し、税理士・行政書士との連携のスケジュールも当社で管理しました。
よくある質問
歯科医師でなくても、歯科医院を開設できますか
できます。一般社団法人などの法人が開設者になれば、代表者は歯科医師でなくて構いません。ただし歯科医院の管理者は、臨床研修を修了した歯科医師でなければなりません(医療法 第10条)。医師以外の開業全般は医師でなくてもクリニックは開業できるかにまとめています。
一般社団法人で歯科医院を開くまで、どのくらいかかりますか
医療法人の認可の順番待ちがないので、最短で3.5〜4か月が目安です。物件の内装工事と、保健所の許可、保険医療機関の指定の締切が、実際の期間を左右します。
管理歯科医師が辞めたら、どうなりますか
新しい管理歯科医師を置き、保健所に変更を届け出ます。開設者は法人のままなので、個人開業のように診療所を廃止して開き直す必要はありません。ただし管理者がいない期間は診療できないので、後任のあてを早めに持っておきます。
一般社団法人の歯科医院でも、保険診療はできますか
できます。開設許可を受けて開設したあと、地方厚生局に保険医療機関の指定を申請します。指定は月ごとの締切があるので、開業日から逆算して準備します。
関連ページ
参考:医療法 第7条・第8条・第10条、医療法施行規則 第24条の2(e-Gov法令検索、2026年10月30日確認)。許可の運用は自治体ごとに異なることがあります。手続きの前に管轄の保健所で最新の内容をご確認ください。

