眼科クリニックは、検査機器の多さが開業の重さを決める診療科です。視力・眼圧・眼底・画像の検査を院内でそろえるうえに、日帰りの白内障手術までやるかどうかで、機器も部屋も人も大きく変わります。
この記事では、厚生労働省の医療経済実態調査から眼科クリニックの収支を読み、手術をやるかどうかで変わること、開業費用と物件の考え方を整理します。
眼科クリニックの収支は、どれくらいなのか
入院のない眼科クリニック1施設あたりの、1年間の数字です(令和6年度にあたる期間。千円単位の数値を万円に四捨五入しています)。
| 項目 | 個人の開設 | 医療法人の開設 |
|---|---|---|
| 医業収益 | 1億507万円 | 1億7,787万円 |
| 給与費 | 2,645万円 | 8,609万円 |
| 医薬品費 | 622万円 | 2,184万円 |
| 減価償却費 | 686万円 | 797万円 |
| 損益差額 | 3,602万円 | 1,556万円 |
| 損益率 | 34.3%(前年度 35.6%) | 8.7%(前年度 9.4%) |
| 集計した施設数 | 41 | 96 |
減価償却費は、個人で内科(433万円)の約1.6倍、医療法人で内科(597万円)の約1.3倍です。機器にお金がかかることが数字に出ています。医療法人の損益率8.7%は、内科(4.4%)や整形外科(3.2%)より高めです。個人の給与費には院長自身の報酬が入っていないので、個人の損益差額は「院長の取り分・税金・借入の返済」の原資で、法人の数字とはそのまま比べられません。
白内障手術をやるかどうかで、何が変わるのか
| 項目 | 日帰り手術をやる | 外来の検査・治療が中心 |
|---|---|---|
| 機器 | 手術用の顕微鏡と手術装置、術前の検査機器が加わる | 視力・眼圧・眼底・画像の検査機器 |
| 部屋 | 手術室、術前・術後に休む場所、滅菌の設備 | 検査の部屋を広めに。暗室 |
| 人 | 手術に入る看護師、検査を担う視能訓練士 | 視能訓練士などの検査の人 |
| 運転資金 | 機器の支払い(購入・リース)が大きい | 比べると小さい |
手術は、開業と同時に始めず、外来の患者さんが増えてから足す選び方もあります。その場合も、手術室を後から作れる広さと配管を、最初の物件で確保しておきます。
眼科の開業費用は、何で変わるのか
| 決めること | 費用に効くところ |
|---|---|
| 検査機器の範囲 | 画像の検査機器をどこまでそろえるか。購入かリースか |
| 手術の有無 | 手術装置・顕微鏡・手術室の工事 |
| 検査の動線 | 検査を順に回る間取り。暗室と視力検査の距離 |
| コンタクトレンズの処方 | 処方と販売をどう分けるか。販売店との関係 |
資金の全体像と、購入とリースの考え方を含む運転資金の見積もり方はクリニックの開業資金、物件の確かめ方はクリニック開業の物件の選び方にまとめています。
一般社団法人での眼科の開設を、設計から保健所まで一緒に進めます
眼科は、どの検査を院内でそろえ、手術をいつから始めるかで、機器・部屋・人がまとめて決まります。範囲とエリアが決まれば、大枠は出せます。
- 無料相談のなかで、大枠の試算をお出ししています
- 一般社団法人で開設する場合の、法人まわりの費用も含めて見ます
- 物件・内装・機器は、それぞれ得意なパートナー会社をご紹介します
開業すると決めていない段階でも構いません。
眼科の立地は、どう考えるのか
令和5年の調査では、眼科を掲げる一般診療所は8,222施設で、令和2年からほぼ横ばいです(22施設減)。白内障の手術を受けるのは高齢の方が多いので、手術を柱にするなら高齢の方が通いやすい立地とバリアフリーが効きます。コンタクトレンズの処方が中心なら、若い世代が通る駅や商業施設の近くが向きます。医師が特に多い地域での事前届出はクリニックの開業規制に書きました。
眼科を一般社団法人で開設すると、何が変わるのか
眼科でも、一般社団法人を開設者にできます。違いが出るのは診療の中身ではなく、開設の手続きと、その後の動かしやすさです。
| 項目 | 一般社団法人で開設すると |
|---|---|
| 開設の手続き | 開設の前に保健所の許可を受ける(個人で開くなら開設後10日以内の届出)。保健所は法人の非営利性も確かめる |
| 代表者と管理者 | 代表者に医療の資格は要らない。管理者は医師(歯科は歯科医師) |
| 拠点と承継 | 院長が替わっても開設者は法人のまま。分院や承継を前提に設計しやすい |
眼科は機器の多い診療科です。機器のリースや借入を法人で組み、院長が替わっても引き継げる形にしやすくなります。医療法人との違いは一般社団法人と医療法人の違い、弱いところは一般社団法人でクリニックを開くデメリットにまとめています。
よくある質問
眼科の開業資金は、いくらくらいですか
公的な統計で、眼科の開業資金の相場を示したものはありません。検査機器をどこまでそろえるか、日帰りの白内障手術をやるかで大きく変わります。機器をリースにすれば開業時の支払いは小さくなりますが、月々の固定費になります。
開業と同時に、白内障手術を始めるべきですか
決まりはありません。同時に始めれば早く柱が立ちますが、機器と人の負担が開業時に重なります。外来が軌道に乗ってから足すなら、手術室を後から作れる広さと配管を最初の物件で確保しておきます。
視能訓練士は必ず要りますか
開業の要件ではありませんが、眼科は検査の多い診療科なので、検査を担う人の体制が外来の回り方を決めます。採用の見通しは、開業の計画と同じ時期に立てておきます。
関連ページ
参考:中央社会保険医療協議会「第25回医療経済実態調査(医療機関等調査)報告」(令和7年実施)一般診療所・主たる診療科別の損益状況(入院診療収益なし、集計2)、厚生労働省「令和5年医療施設(静態・動態)調査」表6(2026年10月30日確認)。

