クリニック開業に使える補助金|医師が足りない地域の支援、電子カルテ、雇用の助成金【2026年】

クリニック開業に使える補助金|医師が足りない地域の支援、電子カルテ、雇用の助成金 【2026年】(ソクラクのコラム/クリニック開業)

クリニックの開業に、どこで開いても受けられる「開業そのものへの補助金」はありません。使えるのは、「医師が足りない地域で開業するときの支援」「電子カルテや電子処方箋を入れるときの補助」「スタッフを雇ってから使う助成金」の3つに分かれます。開業資金の大半は、自己資金と融資で組むのが前提です。
この記事では、それぞれの補助の中身と、開業の準備のどの時点で確かめればよいかを、2026年10月時点の国と自治体の資料にそって整理します。

目次

クリニックの開業に使える補助金には、何があるのか

種類中身使える人
医師が足りない地域での開業支援建物・医療機器・開業後の運営費の一部を補助する都道府県が選んだ区域で開業・承継する、保険診療が中心の医科診療所
電子カルテ・電子処方箋の補助電子カルテや電子処方箋を入れる費用の一部を補助する制度ごとに違う。開業前から使えるものもある
雇用の助成金スタッフの正社員化や賃上げに合わせて助成するスタッフを雇って、要件を満たした事業主

補助金は、支払いを終えてから後で入るものがほとんどです。開業の時点では、補助金を当てにせず資金を組んでおく必要があります。開業資金の内訳と調達の考え方はクリニックの開業資金にまとめています。

医師が足りない地域で開業すると、どんな支援があるのか

国の医師偏在対策として、「重点医師偏在対策支援区域」で診療所を承継・開業する場合の支援が始まっています。区域は、国が示した候補から都道府県が選びます。香川県の案内(令和8年度)では、次の3つが対象です。

区分対象と補助
施設整備診察室・処置室などの診療部門と、一体で整備する医師・看護師の住宅。補助率1/2(面積と1㎡あたりの単価に上限あり)
設備整備診療所に必要な医療機器の購入費。1か所あたり基準額1,650万円、補助率1/2
地域への定着支援職員の給与や光熱水費など、開業後の運営費。診療日数に応じた基準額で、補助率2/3(診療収入などは差し引く)

対象になるのは、都道府県の地域医療対策協議会と保険者協議会で「支援の対象」として合意を得た診療所だけです。区域はかなり絞られていて、たとえば東京都では奥多摩町・檜原村と島しょの町村です。都市部で開業する場合は、まず対象になりません。施設や設備は、県の内示の前に工事や購入の契約を結ぶと対象から外れます。

電子カルテの補助は、開業前でも使えるのか

使えるものがあります。東京都の「診療所診療情報デジタル推進事業」(2026年度)は、これから無床診療所を開設する人も対象に含めています。保険医療機関であることが条件で、補助率は3/4、無床診療所の基準額は300万円です。国やほかの自治体の補助と同じ費用に重ねることはできません。

電子処方箋の導入補助は、診療所で上限27.1万円(院内処方も入れるなら35.9万円)、2027年3月までの導入が対象です。電子カルテ・電子処方箋・デジタル化・AI導入補助金の中身は、医療DXの補助金で詳しく書いています。

開業前にいちばん効くのは、電子カルテを選ぶ時期と、補助の募集の時期を合わせることです。東京都の2026年度の提出期限は5月と8月でした。開業日から逆算すると、物件や内装と同じころに電子カルテの方針を決めておく必要があります。工程はクリニック開業の流れとスケジュールにまとめています。

補助金も含めて、開業の資金と工程を組む

ソクラクは、一般社団法人でのクリニック開業を、最短3.5ヶ月で支援しています。開業日から逆算して、どの補助の募集に間に合うか、間に合わないなら何で組むかまで一緒に決めます。

  • 無料相談のなかで、大枠の試算をお出ししています
  • 電子カルテ・予約・LINEの導線を、開業前から組みます
  • 物件・内装・機器は、それぞれ得意なパートナー会社をご紹介します

クリニック開業支援について見る

補助金の採択はお約束できません。申請の対象になるかは、制度ごとの要領で確かめます。

スタッフを雇ったあとに、使える助成金はあるのか

厚生労働省の雇用関係の助成金は、クリニックも事業主として使えます。開業前ではなく、スタッフを雇い、決められた手順を踏んだあとに申請するものです。

助成金どんなときに使うか
キャリアアップ助成金有期雇用やパートのスタッフを、正社員に転換したとき
業務改善助成金院内でいちばん低い時給を引き上げ、あわせて業務の効率化のための設備などに投資したとき

どちらも、転換や賃上げをする前に計画の届出などが必要なものがあります。やってしまってから申請しても受けられないことがあるので、雇用契約や就業規則を作る段階で、社会保険労務士に確かめておきます。

開業の補助金で、どこでつまずきやすいのか

よくあること先に確かめること
先に契約してしまう内示や交付決定の前に、工事や機器の契約を結ぶと対象外になる。物件と内装の契約日と、補助の手続きの順番を合わせる
募集が終わっている多くは年度ごとの募集で、締切が春から夏に来る。開業日から逆算して、間に合う募集を探す
補助を前提に資金を組む補助金は後払いで、採択されないこともある。補助なしでも開業できる資金計画にしておく
併用できない同じ費用に国と自治体の補助を重ねられない場合がある。どの補助を使うかを先に決める

よくある質問

クリニックの開業に、国の補助金はありますか

どこで開業しても受けられる、開業そのものへの国の補助金はありません。医師が足りない地域として都道府県が選んだ区域での開業・承継には、国の予算による支援があります。電子カルテや電子処方箋など、設備ごとの補助も別にあります。

開業前に申請できる補助金はありますか

あります。たとえば東京都の診療所向けの電子カルテの補助は、これから無床診療所を開設する人も対象に含めています。ただし交付決定の前に契約した費用は対象にならないため、電子カルテの契約の前に募集の時期を確かめておきます。

自由診療だけのクリニックでも、補助金は使えますか

使えないものが多くあります。医師が足りない地域での開業支援は保険診療が中心の診療所、東京都の電子カルテの補助は保険医療機関が対象です。雇用の助成金は、保険診療かどうかに関係なく、要件を満たせば使えます。自由診療での開業の違いは自由診療クリニックの開業で書いています。

開業資金の融資と補助金は、何が違いますか

融資は返済が必要で、開業前に受け取れます。補助金は返済が要りませんが、支払いを終えたあとに入るのが一般的で、採択されないこともあります。開業資金は融資と自己資金で組み、補助金は採択されたら資金繰りが楽になるもの、と考えておくのが安全です。

関連ページ

参考:香川県「重点医師偏在対策支援区域における診療所の承継・開業支援事業について」、東京都保健医療局「令和8年度重点医師偏在対策支援区域における診療所の承継・開業支援事業に係る事業計画書の提出について」「令和8年度診療所診療情報デジタル推進事業」、厚生労働省 事務連絡「令和8年10月以降の電子処方箋の導入補助について」(いずれも2026年10月26日確認)。補助金の内容は年度や都道府県で変わります。申請の前に最新の要領をご確認ください。

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