介護施設の転倒は、なくすことはできなくても、起きやすい時間と場面を知り、備えることで減らせます。そして起きたときは、手順どおりに対応し、記録して、同じことを繰り返さない仕組みにつなげます。治療が必要になった事故は、市町村への報告の対象です。
この記事では、転倒が起きやすい場面と対策、起きたときの対応、事故報告書の書き方、施設に求められている事故防止の体制を整理します。
介護施設の転倒は、どんな場面で起きやすいのか
| 場面 | よくあること | 対策の例 |
|---|---|---|
| 夜間のトイレ | 一人で起きてトイレへ向かう途中 | 排泄の時間に合わせた声かけ、足元の照明、トイレへの呼び出しボタン |
| ベッドからの立ち上がり | 起き上がってすぐ立とうとしてふらつく | ベッドの高さ、手すり、離床センサーで早めに知らせる |
| 車いすへの移乗 | ブレーキのかけ忘れ、足の位置 | 移乗の手順をそろえる |
| 居室の中 | 物につまずく、床の段差、滑りやすい履物 | 動線の片付け、履物の見直し |
どの対策も、ヒヤリハットと転倒の記録から、起きやすい時間と場面を見つけるところから始まります。センサーの種類は離床センサーとは、トイレへのボタンの後付けは介護施設のトイレ・居室に後付けできる呼び出しボタンで書いています。
転倒が起きたら、どう対応するのか
すぐに動かさず、状態を確かめる
意識、痛み、出血、頭を打っていないか。応援を呼ぶ
必要なら医療につなぐ
看護職員・配置医・協力医療機関に連絡し、指示を受ける。迷うときは救急要請の基準にしたがう
家族に連絡する
起きたこと、状態、受診の予定を伝える
記録する
いつ、どこで、どんな状況で、どう対応したか。その日のうちに
報告と振り返り
報告の対象なら市町村へ。委員会で原因と再発防止策を話し合う
介護の事故報告書は、どう書くのか
厚生労働省は事故報告の標準の様式を示しています(2024年11月の通知で改正)。死亡に至った事故と、医師の診断を受け投薬や処置などの治療が必要になった事故は、原則としてすべて報告します。第1報は、様式の1〜6の項目をできる限り書き、事故の発生後遅くとも5日以内を目安に出します。報告は原則として電子メールなどで行います。
| 様式の項目 | 書くこと |
|---|---|
| 1〜3 | 事故の状況(受診・入院・死亡など)、事業所の概要、対象者(要介護度など) |
| 4 | 事故の概要(日時・場所・種別。転倒・転落・誤嚥など) |
| 5〜6 | 事故発生時の対応(受診先・診断名)、その後の状況(家族への報告など) |
| 7〜9 | 原因の分析(本人・職員・環境の要因)、再発防止策、その他 |
原因の分析と再発防止策は、まとまり次第報告します。「職員の注意不足」で終わらせず、環境や仕組みの要因まで書くと、再発防止策が具体的になります。
施設に求められている事故防止の体制は、何か
| 求められていること | 中身 |
|---|---|
| 指針 | 事故発生の防止のための指針を整える |
| 報告と分析 | 事故やその危険がある事態が報告され、分析を通じた改善策を職員に周知する体制 |
| 委員会と研修 | 委員会と職員への研修を定期的に行う |
| 担当者 | 上の措置を実施する担当者を置く |
これは特別養護老人ホームの基準(第35条)などに定められています。介護保険施設では、これらの措置が講じられていない場合の「安全管理体制未実施減算」(1日5単位)と、外部の研修を受けた担当者を置き組織的に安全対策を行う「安全対策体制加算」(入所時に1回20単位)が2021年度にできています。
トイレや居室からの呼び出しを、確実にスマホへ
ソクラクのナースコールは、電池式のボタンを置くか貼るだけで、トイレや居室からの呼び出しを LINE WORKS・Slack・Teams・LINE に届けます。いつ・どこから呼ばれたかが残るので、転倒が起きやすい時間帯を振り返る材料にもなります。
- 配線工事なし。電池式のボタンを置くか貼るだけで、1フロア・1台から試せます
- いつ・どの部屋から呼ばれたかを自動で保存します
- 初期費用は10部屋・1フロアで32万円〜、月額は基本利用料1万円+ボタン数に応じた利用料(税別)
ソクラクが扱うのは利用者が押す呼び出しボタンです。離床センサー・マットセンサー・徘徊センサーなどの見守りセンサーは、現在は取り扱っていません。
よくある質問
介護施設の転倒は、すべて市町村に報告するのですか
厚生労働省の様式では、死亡に至った事故と、医師の診断を受け治療が必要になった事故は原則としてすべて報告の対象です。それ以外の事故の扱いは市町村によって違うため、所管の市町村の取扱いを確かめてください。
事故報告の第1報は、いつまでに出しますか
事故の発生後、速やかに、遅くとも5日以内を目安に出します。様式の1〜6の項目をできる限り書き、原因の分析と再発防止策はまとまり次第報告します。
転倒を防ぐために、センサーは必要ですか
必要な方に絞って使うと効果があります。ただしセンサーは知らせるだけで、転倒そのものを止めるものではありません。排泄の時間に合わせた声かけや環境の見直しと組み合わせ、使う理由と見直しの時期を決めておきます。
関連ページ
参考:厚生労働省 介護保険最新情報Vol.1332「介護保険施設等における事故の報告様式等について」(令和6年11月29日)、指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第39号)第35条、「令和3年度介護報酬改定における改定事項について」(2026年10月27日確認)。

