一般社団法人は、定款を作って公証人の認証を受け、登記をすれば成立します。医療法人のような都道府県の認可は要りません。設立のときに必要なのは、社員2人以上と理事1人以上(理事会を置くなら理事3人以上と監事)です。
この記事では、クリニックを開設するために一般社団法人を作るときの、設立の流れ、社員と理事の人数、かかる費用、設立したあと開設までにすることを整理します。
一般社団法人は、どんな流れで設立するのか
| 段階 | やること | 根拠 |
|---|---|---|
| 1. 定款を作る | 社員になる人(設立時社員)が共同で定款を作り、全員が署名または記名押印する | 一般社団法人法 第10条 |
| 2. 定款の認証 | 公証役場で公証人の認証を受ける。認証が無いと定款は効力を持たない | 同 第13条 |
| 3. 設立時の役員を決める | 設立時理事を選ぶ。理事会を置くなら、設立時理事の中から設立時代表理事を選ぶ | — |
| 4. 設立の登記 | 主たる事務所の所在地の法務局に登記を申請する。登記をした時点で法人が成立する | 同 第22条 |
医療法人は、都道府県の認可を受けてから設立の登記をします。一般社団法人は認可の順番待ちが無いので、開設の時期を自分たちで決めやすくなります。2つの違いは一般社団法人と医療法人の違いに書きました。
社員と理事は、何人必要なのか
| 機関 | 人数・決まり | 根拠 |
|---|---|---|
| 社員 | 設立のときは2人以上。社員総会で法人の大事なことを決める(いわゆる従業員とは違う) | 第10条、法務省Q&A |
| 理事 | 1人以上。理事会を置くなら3人以上 | 第60条、法務省Q&A |
| 監事 | 理事会を置くなら必ず置く | 第61条 |
| 代表理事 | 理事会を置くなら、理事会が理事の中から選ぶ | 第90条 |
| 理事の任期 | 選ばれてから2年以内に終わる事業年度の、最後の定時社員総会の終わりまで(短くはできる) | 第66条 |
| 役員になれない者 | 法人は役員になれない。一定の罪で刑を受けた人なども | 第65条 |
社員・理事・代表理事のどれにも、医師の資格は要りません。資格が要るのは、開設するクリニックの管理者(医師、歯科は歯科医師)です。法人を動かす人と、診療所を管理する人を分けて置ける、というのが一般社団法人で開設する理由のひとつです。
クリニックを開くなら、社員と理事をどう組むのか
一般社団法人がクリニックを開設するとき、保健所は構造設備に加えて、定款、役員の構成、資金の流れから法人の非営利性を確かめます。社員と理事の組み方は、ここでの説明に直結します。
| 考えること | 中身 |
|---|---|
| 理事会を置くか | 置くと理事3人以上と監事が要るが、業務の決め方と監督の形がはっきりする |
| 管理者を役員に入れるか | 管理者になる医師が理事に入るか、雇用で迎えるか。診療の判断を誰が持つかを決める |
| 役員の顔ぶれ | 取引先や出資した人との関係を、保健所に説明できる構成にする |
| 定款の目的 | クリニックの運営に加えて、将来やりたい事業をどこまで書いておくか |
「社員」の意味や非営利性の担保、定款の目的の広げ方といった、一般社団法人ならではの難しいところは一般社団法人でクリニックを開くデメリットに詳しく書きました。物販など医療以外の事業を別会社にするなら、MS法人とはも参考にしてください。理事の構成は、税金の上で非営利型法人になれるかにも効きます(一般社団法人のクリニックの税金)。
設立の費用は、いくらかかるのか
| 費用 | 金額 | 払う先 |
|---|---|---|
| 定款の認証 | 5万円 | 公証役場 |
| 設立登記の登録免許税 | 6万円 | 法務局 |
| 専門家への報酬 | 依頼する範囲で変わる | 登記は司法書士 |
法人を作る費用は、クリニックの内装や機器に比べれば小さな割合です。開業資金の全体と運転資金の見積もり方はクリニックの開業資金にまとめています。
法人の設計から、保健所での開設許可まで一緒に進めます
定款の文言、非営利性の担保、社員と理事の構成。ここをクリニックの開設まで見据えて決めておくと、保健所とのやり取りで手戻りが減ります。
- 定款・社員と理事の構成を、開設後の運営まで含めて一緒に決めます
- 保健所への申請の書類を整理し、折衝にも同席します
- 登記は司法書士、許可申請の書類作成は行政書士と連携し、当社が全体の進行を持ちます
社員や理事になる人が決まっていない段階でも構いません。
設立したあと、クリニックの開設までに何をするのか
法人ができたら、保健所に図面を持って事前に相談し、内装の完成前後に診療所の開設許可を申請します。医師でない者(法人を含む)が診療所を開設するには、開設の前に許可が要ります(医療法 第7条)。許可を受けて開設したら、開設届とエックス線装置の届出、地方厚生局への保険医療機関の指定申請と進みます。逆算のしかたはクリニック開業の流れとスケジュール、歯科の場合は一般社団法人で歯科医院を開設するにまとめています。
よくある質問
一人で一般社団法人を作れますか
設立のときは、社員が2人以上必要です。理事は1人でも構いませんが、理事会を置くなら理事3人以上と監事が要ります。誰に社員や理事を頼むかは、保健所への説明も見据えて決めます。
社員や理事に、医師が入っている必要はありますか
法律上の決まりはありません。医師であることが必要なのは、開設するクリニックの管理者です。管理者になる医師を理事に入れるか、雇用で迎えるかは、診療の判断を誰が持つかで決めます。医師以外の方が開業するときの進め方は医師でなくてもクリニックは開業できるかに書きました。
一般社団法人の設立にかかる法定の費用はいくらですか
定款の認証が5万円、設立登記の登録免許税が6万円です。このほか、登記を司法書士に依頼する場合は報酬がかかります。
一般社団法人を作れば、すぐにクリニックを開けますか
法人ができても、それだけでは開けません。保健所で診療所の開設許可を受け、保険診療をするなら地方厚生局の指定を受ける必要があります。物件や内装、管理者の確保と並べて進めます。
関連ページ
参考:一般社団法人及び一般財団法人に関する法律 第10条・第13条・第22条・第60条・第61条・第65条・第66条・第90条、医療法 第7条(e-Gov法令検索)、法務省「一般社団法人及び一般財団法人制度Q&A」(2026年10月31日確認)。

