心療内科・精神科クリニックの開業|収支の実態と、2026年度改定で変わったこと

心療内科・精神科クリニックの開業|収支の実態と、2026年度改定で変わったこと(ソクラクのコラム/クリニック開業)

心療内科・精神科のクリニックは、大きな検査機器が要らないので、設備にかかるお金は診療科のなかでも小さい側です。そのぶん、何で差がつくかが見えにくい診療科でもあります。答えは、医師の資格(精神保健指定医かどうか)、1人にかける時間、通いやすさの3つです。
この記事では、厚生労働省の医療経済実態調査から精神科クリニックの収支を読み、2026年度の診療報酬改定で変わったこと、開業費用と物件の考え方を整理します。

目次

心療内科・精神科クリニックの収支は、どれくらいなのか

医療経済実態調査には「心療内科」の区分がないため、入院のない精神科クリニック1施設あたりの、1年間の数字を示します(令和6年度にあたる期間。千円単位の数値を万円に四捨五入しています)。

項目個人の開設医療法人の開設
医業収益5,318万円1億1,116万円
給与費1,520万円6,933万円
医薬品費405万円961万円
減価償却費208万円303万円
損益差額1,978万円179万円
損益率37.2%(前年度 39.9%)1.6%(前年度 2.4%)
集計した施設数2425

個人の減価償却費は、内科(433万円)の半分以下です。設備が軽いことが数字にも出ています。個人の給与費には院長自身の報酬が入っていないので、個人の損益差額は「院長の取り分・税金・借入の返済」の原資で、法人の数字とはそのまま比べられません。集計した施設数が20台と少ないので、1つの目安として読んでください。

2026年度の改定で、何が変わったのか

心療内科・精神科の外来の柱は「通院精神療法」です。個人の精神科クリニックでは、医業収益の92.0%が外来の保険診療です。令和8年度の改定で、通院精神療法の点数は精神保健指定医かどうかでの差が広がりました。

初診日に行う通院精神療法改定前改定後
60分以上・精神保健指定医600点650点
60分以上・指定医以外550点550点
30分以上60分未満・指定医(区分なし)550点(新設)

あわせて、精神保健指定医でない医師が行い、所定の施設基準の届出もしていない医療機関では、所定の点数の100分の60で算定する規定が新設されました。開業前に、院長が指定医かどうか、施設基準の届出ができる体制かを確かめておくことが、収支の見通しに直結します。

心療内科・精神科の開業費用は、何で変わるのか

大きな機器が要らないぶん、費用は部屋の作り方で変わります。

決めること費用に効くところ
診察室の数と防音話が外に漏れない壁・扉。医師を増やすなら診察室も増える
心理検査・カウンセリング専用の部屋と、公認心理師などの採用
待合の配置人と顔を合わせにくい席の並びや仕切り
予約の仕組み予約制にするなら、予約システムと受付の運用

資金の全体像と、保険診療の入金が2か月後になるぶんの運転資金はクリニックの開業資金にまとめています。

一般社団法人での心療内科・精神科の開設を、設計から保健所まで一緒に進めます

心療内科・精神科は、設備よりも医師の体制と診療の組み方で収支が決まります。誰が院長になり、どの曜日に何人で診るかが決まれば、大枠は出せます。

  • 無料相談のなかで、大枠の試算をお出ししています
  • 一般社団法人で開設する場合の、法人まわりの費用も含めて見ます
  • 物件・内装は、それぞれ得意なパートナー会社をご紹介します

クリニック開業支援について見る

開業すると決めていない段階でも構いません。

物件と立地では、何を見るのか

心療内科・精神科では、出入りが目立たないことが通いやすさになります。駅からの近さに加えて、入口が通りから見えにくいか、エレベーターで他のテナントの人と顔を合わせにくいかを見ます。同じビルに入るテナントの業種も確かめておきます。物件の確かめ方はクリニック開業の物件の選び方に書きました。

令和5年の調査では、精神科を掲げる診療所は7,761施設、心療内科は5,314施設で、どちらも令和2年から増えています(重複あり)。医師が特に多い地域では、無床の診療所を開く前に事前届出が要ります。詳しくはクリニックの開業規制にまとめています。

心療内科・精神科を一般社団法人で開設すると、何が変わるのか

心療内科・精神科でも、一般社団法人を開設者にできます。違いが出るのは診療の中身ではなく、開設の手続きと、その後の動かしやすさです。

項目一般社団法人で開設すると
開設の手続き開設の前に保健所の許可を受ける(個人で開くなら開設後10日以内の届出)。保健所は法人の非営利性も確かめる
代表者と管理者代表者に医療の資格は要らない。管理者は医師(歯科は歯科医師)
拠点と承継院長が替わっても開設者は法人のまま。分院や承継を前提に設計しやすい

心療内科・精神科は、医師の体制で収支が決まる診療科です。院長が替わっても法人として診療を続けられる形は、医師の交代への備えになります。医療法人との違いは一般社団法人と医療法人の違い、弱いところは一般社団法人でクリニックを開くデメリットにまとめています。

よくある質問

精神保健指定医でなくても、開業できますか

開業そのものに、精神保健指定医の資格は要りません。ただし令和8年度の改定で、通院精神療法の点数は指定医かどうかで差がつき、指定医でない医師が行う場合は施設基準の届出がないと所定点数の100分の60になります。収支の見通しに大きく効くので、開業前に確かめてください。

心療内科と精神科は、どちらを掲げればよいですか

両方を掲げることもできます。心療内科は、ストレスが体の症状として出ている方にとって入口になりやすい名前です。院長の専門と、来てほしい患者さんに伝わる名前で決めます。

心療内科の開業資金は、いくらくらいですか

公的な統計で、心療内科の開業資金の相場を示したものはありません。大きな機器が要らないぶん、物件の取得と内装、そして患者数が立ち上がるまでの運転資金が中心になります。初診は時間がかかるため、1日に診られる人数から運転資金を見積もります。

関連ページ

参考:中央社会保険医療協議会「第25回医療経済実態調査(医療機関等調査)報告」(令和7年実施)一般診療所・主たる診療科別の損益状況(入院診療収益なし、集計2)、厚生労働省「令和8年度診療報酬改定の概要(精神医療)」、「令和5年医療施設(静態・動態)調査」表6(2026年10月30日確認)。

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