内科クリニックの開業|収支の実態と、費用が変わるところ・診療の形・立地

内科クリニックの開業|収支の実態と、費用が変わるところ・診療の形・立地(ソクラクのコラム/クリニック開業)

内科は、一般診療所の約6割が掲げている診療科です(令和5年、104,894施設のうち64,747施設)。患者さんの入口になる一方で、近くに同じ内科が必ずあるので、開業するなら「どんな内科か」を最初に決める必要があります。
この記事では、厚生労働省の医療経済実態調査から内科クリニックの収支を読み、開業費用が何で変わるか、診療の形と立地の考え方、届出のポイントを整理します。

目次

内科クリニックの収支は、どれくらいなのか

入院のない内科クリニック1施設あたりの、1年間の数字です(令和6年度にあたる期間。千円単位の数値を万円に四捨五入しています)。

項目個人の開設医療法人の開設
医業収益8,815万円1億6,020万円
給与費2,483万円8,711万円
医薬品費1,292万円1,819万円
減価償却費433万円597万円
損益差額2,471万円730万円
損益率27.9%(前年度 33.6%)4.4%(前年度 10.4%)
集計した施設数237581

個人と医療法人の数字は、そのまま比べられません。個人の給与費には院長自身の報酬が入っていないので、個人の損益差額は「院長の取り分・税金・借入の返済」の原資です。医療法人では院長の報酬は給与費に入っています。どちらの開設でも、損益率は前年度より下がっています。開業の計画は、直近の数字で立てておくのが安全です。

内科の開業費用は、何で変わるのか

内科の開業費用は「どの検査を院内でやるか」でほぼ決まります。同じ内科でも、検査の範囲によって機器・内装・人の3つが連動して変わります。

決めること費用に効くところ
エックス線を置くか装置に加え、エックス線室の遮へい工事と届出が要る
内視鏡をやるか内視鏡本体、洗浄・消毒の設備、前処置とリカバリーの場所、看護師の配置
院内で測る検査超音波・心電図・血液検査の機器。外注にするか院内で出すか
院内処方か院外処方か院内なら薬の在庫と調剤の場所・人が要る。上の表の医薬品費に効く
発熱外来の動線入口や待合を分けるための間取りと工事

内訳の全体像と運転資金の見積もり方はクリニックの開業資金、居抜きとスケルトンの違いはクリニック開業の物件の選び方にまとめています。

一般社団法人での内科の開設を、設計から保健所まで一緒に進めます

検査の範囲・エリア・開設のかたちが決まれば、開業資金の大枠は出せます。機器や内装の見積もりを取る前に、全体の枠を先に持っておくと判断がぶれません。

  • 無料相談のなかで、大枠の試算をお出ししています
  • 一般社団法人で開設する場合の、法人まわりの費用も含めて見ます
  • 物件・内装・機器は、それぞれ得意なパートナー会社をご紹介します

クリニック開業支援について見る

開業すると決めていない段階でも構いません。

どんな内科にするかは、どう決めるのか

内科は掲げる施設が多いぶん、看板の「内科」だけでは選ばれる理由になりません。院長の専門と、地域で足りていないものの重なりで形を決めます。

形の例中心になる診療開業で重くなるところ
一般内科(かかりつけ)風邪・生活習慣病・健診立地と通いやすさ。差がつきにくい
消化器内科胃・大腸の内視鏡内視鏡の設備と人。物件の広さ
循環器内科高血圧・心不全などの管理心電図・超音波などの検査機器
糖尿病・内分泌内科糖尿病の継続管理検査の院内化と、栄養指導などの体制
在宅医療をあわせる通院が難しい方への訪問診療夜間の対応体制と車両・人

形が決まると、要る機器・広さ・採用する職種が決まり、物件の条件も絞れます。順番を逆にして物件から決めると、やりたい診療が入らないことがあります。

内科の立地で、気をつけることは何か

内科は通院の頻度が高いので、患者さんの生活圏の中にあることが前提です。そのうえで、2026年4月からは医師が特に多い地域で無床の診療所を開く場合、開設の6か月前までの事前届出が求められます。東京23区の一部や大阪市などが候補区域として示されています。詳しくはクリニックの開業規制に書きました。

開業の届出で、内科に関係するものは何か

届出いつ・どこへ根拠
診療所開設届(医師個人が開設)開設後10日以内に、都道府県知事(窓口は保健所)へ医療法 第8条
診療所開設許可(法人が開設)開設の前に許可を受ける医療法 第7条
エックス線装置の設置届備えてから10日以内に医療法施行規則 第24条の2

保険医療機関の指定申請は、締め切りが月ごとに決まっていて、開業日から逆算が要ります。全体の流れはクリニック開業の流れとスケジュールにまとめています。

内科を一般社団法人で開設すると、何が変わるのか

内科でも、一般社団法人を開設者にできます。違いが出るのは診療の中身ではなく、開設の手続きと、その後の動かしやすさです。

項目一般社団法人で開設すると
開設の手続き開設の前に保健所の許可を受ける(個人で開くなら開設後10日以内の届出)。保健所は法人の非営利性も確かめる
代表者と管理者代表者に医療の資格は要らない。管理者は医師(歯科は歯科医師)
拠点と承継院長が替わっても開設者は法人のまま。分院や承継を前提に設計しやすい

内科は、院長の専門で形が決まる診療科です。専門の違う医師を法人に迎えて、診療の幅や拠点を広げていく設計がしやすくなります。医療法人との違いは一般社団法人と医療法人の違い、弱いところは一般社団法人でクリニックを開くデメリットにまとめています。

よくある質問

内科の開業資金は、いくらくらいですか

公的な統計で、内科の開業資金の相場を示したものはありません。エックス線や内視鏡を置くか、院内処方か、居抜きかスケルトンかで大きく変わります。日本政策金融公庫の調査にある開業費用の平均(全業種で975万円)は、医療機器を持たない業種も含めた数字なので、クリニックの目安にはなりません。

内科は競合が多いですが、いまから開業しても大丈夫ですか

内科を掲げる診療所は令和2年から令和5年で604施設増えています。競合がいる前提で、専門や検査の範囲、診療時間などで「この内科に行く理由」を作れるかが分かれ目です。医師が多い地域では事前届出も要るので、場所の選び方から考えます。

医師でなくても内科クリニックを開業できますか

一般社団法人などの法人が開設者になれば、代表者が医師である必要はありません。ただし診療所の管理者は医師でなければなりません。詳しくは医師でなくてもクリニックは開業できるかにまとめています。

関連ページ

参考:中央社会保険医療協議会「第25回医療経済実態調査(医療機関等調査)報告」(令和7年実施)一般診療所・主たる診療科別の損益状況(入院診療収益なし、集計2)、厚生労働省「令和5年医療施設(静態・動態)調査」表6、日本政策金融公庫総合研究所「2025年度新規開業実態調査」、医療法、医療法施行規則(2026年10月30日確認)。

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