介護施設が見守りセンサーやインカム、介護記録ソフトを入れるときに使える国の補助が、「介護テクノロジー導入支援事業」です。旧来の介護ロボット導入支援とICT導入支援をまとめたもので、実施するのは都道府県、補助率は2分の1または4分の3を下限に都道府県が決めます。対象になるのは、原則としてTAISで「介護テクノロジー」に選ばれた機器です。
この記事では、2026年度(令和8年度)の実施要綱にそって、補助の対象・補助率と基準額・要件・申請の流れを整理します。
介護テクノロジー導入支援事業とは、どんな補助か
| 項目 | 中身 |
|---|---|
| ねらい | 業務時間を減らす効果が確かめられている見守り機器・介護記録ソフト・インカムを、小規模な事業所にも広げる |
| 実施主体 | 都道府県。申請先も都道府県(または都道府県が委託した団体) |
| 対象の事業所 | 介護保険のすべてのサービス事業所(訪問介護・居宅介護支援も含む)と、養護老人ホーム・軽費老人ホーム |
| 対象の機器 | TAISで「介護テクノロジー」として選定された機器など。見守り機器・インカム・介護ソフトが優先される |
| 財源 | 地域医療介護総合確保基金(介護従事者確保分) |
介護ロボット・ICT・DXの補助金として案内されているものの多くは、この事業を都道府県ごとに実施しているものです。名前は都道府県によって違います。
補助率と基準額は、いくらか
| メニュー | 基準額 | 補助率 |
|---|---|---|
| 介護テクノロジーの導入 | 移乗支援・入浴支援・インカムは1台100万円。介護ソフトは職員数に応じて100万〜250万円。そのほか(見守り機器など)は1台30万円 | 要件を満たせば4分の3以上、それ以外は2分の1以上(都道府県が設定) |
| パッケージ型の導入 | 介護ソフトと、連動する見守り機器・インカムなどの組み合わせ。400万〜1,000万円の範囲で都道府県が設定 | 同上。4分の3は研修の受講や3点(見守り・ICT機器・記録ソフト)の活用などが条件 |
| 業務改善の支援 | 導入とあわせて受ける業務改善の支援。45万円と実際の支出の少ない方 | 上の2つを使う場合は必須 |
Wi-Fiの工事やルーター、タブレットなど、機器を使うための通信環境の整備も付帯の経費として対象になります。毎月の通信費は対象外です。同じ目的で複数の機種を入れても、補助は1機種までとされています。
補助を受けるには、どんな要件があるのか
| 要件 | 中身 |
|---|---|
| セキュリティ | IPAの「SECURITY ACTION」の一つ星または二つ星を宣言する |
| 業務改善計画 | 導入で何を改善するかの計画をつくる |
| 委員会 | 入所・泊まり・居住系のサービスは、安全対策や負担軽減を検討する委員会を設ける |
| データ連携 | 居宅系などのサービスは、2026年度内にケアプランデータ連携システムなどを使い始める |
| そのほか | LIFE(科学的介護情報システム)への協力、介護情報基盤を使う準備 |
4分の3の補助率を受けるには、収支が改善した分を職員の賃金に還元すると明記することなども求められます。生産性向上推進体制加算を取っていることは、国の要綱では要件になっていません。加算の中身は生産性向上推進体制加算とはで書いています。
申請は、いつ、どう進めるのか
都道府県の募集を確かめる
申請の時期は国では決まっておらず、都道府県ごとに違う。2026年度は東京都が7〜8月、神奈川県が8月に受け付けた
機器がTAISに載っているか確かめる
導入したい機器が「介護テクノロジー」として選定されているかを、テクノエイド協会のページで調べる
計画をつくって申請する
業務改善計画や見積もりをそろえて申請する。審査のうえで内示・交付決定が出る
決定のあとに購入・導入する
決定の前に買った機器は対象外になることが多い。契約の日付に気をつける
実績を報告する
導入後に実績報告を出し、補助金が支払われる
東京都と神奈川県の2026年度の内容は、【東京都】介護ロボット・見守り機器の補助金と【神奈川県】介護ロボット・ICTの補助金にまとめています。TAISの調べ方はTAISコードとはで書いています。
補助金に頼らず、月額で小さく始める
ソクラクのナースコールは、電池式の呼び出しボタンから、LINE WORKS・Slack・Teams・LINEに呼び出しを届けます。配線工事なしで、1フロア・1台から試せます。
- 初期費用は10部屋・1フロアで32万円〜、月額は基本利用料1万円+ボタン数に応じた利用料(税別)
- 募集の時期を待たずに、必要な場所から入れられます
ソクラクのナースコールはTAISに登録していないため、TAISの掲載を条件とする補助の対象にはなりません。
よくある質問
介護ロボット補助金と介護テクノロジー導入支援事業は、同じものですか
同じ流れのものです。以前の介護ロボット導入支援事業とICT導入支援事業が、介護テクノロジー導入支援事業にまとめられました。都道府県によっては、いまも「介護ロボット・ICT導入支援」といった名前で募集しています。
見守りセンサーは補助の対象になりますか
TAISで「介護テクノロジー」に選ばれている見守り機器なら、対象になります。見守り機器・インカム・介護ソフトは優先的に補助する方針とされています。導入したい機種が選定されているか、都道府県の要綱で上乗せの条件がないかを、申請前に確かめてください。
訪問介護や居宅介護支援でも使えますか
使えます。2026年度の要綱では、訪問介護事業所や居宅介護支援事業所を含む、介護保険のすべてのサービス事業所が対象です。居宅系のサービスは、2026年度内にケアプランデータ連携システムなどを使い始めることが要件に入っています。
IT導入補助金と一緒に使えますか
同じ機器について重ねて受けることはできません。要綱では、IT導入補助金などで助成を受けたものは対象外とされています。どちらを使うかは、機器と補助率、申請の時期を比べて決めます。
関連ページ
参考:厚生労働省「介護テクノロジー導入支援事業実施要綱」(令和8年6月5日 老高発0605第1号の別添)、厚生労働省「介護テクノロジー利用の重点分野」(2024年6月改訂)、公益財団法人テクノエイド協会「福祉用具情報システム(TAIS)」(2026年10月27日確認)。補助率や基準額、募集の時期は都道府県によって異なります。

