医療DXの補助金|電子処方箋・デジタル化・AI導入補助金・都道府県の補助【2026年10月】

医療DXの補助金|電子処方箋・デジタル化・AI導入補助金・都道府県の補助 【2026年10月】(ソクラクのコラム/医療DX・業務効率化)

クリニックがいま使える医療DXの補助金は、主に「電子処方箋の導入補助」「デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)」「都道府県などの独自の補助」の3つです。電子処方箋の補助は、2027年3月までに導入した医療機関が対象になりました。2027年度からは、国の電子カルテ普及計画にそって、クラウド型の電子カルテを入れる診療所を支援する案が出ています。
この記事では、それぞれの補助の中身と金額、使うときにつまずきやすいところを、2026年10月時点の国と都の資料にそって整理します。

目次

クリニックが使える医療DXの補助金には、何があるのか

補助金対象と金額
電子処方箋の導入補助電子処方箋管理サービスを入れる費用。診療所は事業額の1/2で、上限27.1万円(院内処方も入れるなら35.9万円)。2027年3月までの導入が対象
デジタル化・AI導入補助金登録されたソフトやクラウドサービスの費用。通常枠は1/2以内で、5万〜450万円。電子カルテ・予約・会計などが候補になる
都道府県などの補助電子カルテの導入などに、独自の補助を出す自治体がある。たとえば東京都は補助率3/4、無床診療所の基準額300万円(2026年度)

それぞれ窓口も締切も違います。同じ費用に国と自治体の補助を重ねて受けることは、できない場合が多いので、どれを使うかを先に決めます。電子処方箋は、診療報酬の新しい加算の区分にも関わります。加算との関係は医療DX推進体制整備加算は何に変わったのかで書いています。

電子処方箋の補助は、いくら出るのか

国の医療情報化支援基金(ICT基金)による補助です。診療所の場合、入れる機能によって上限が変わります。

入れる機能補助(診療所)
院外処方(基本機能+追加機能)事業額54.2万円を上限に、その1/2。最大27.1万円
院外処方+院内処方事業額71.7万円を上限に、その1/2。最大35.9万円

補助の対象になる導入期限は、もともと2026年9月まででした。2026年9月29日の厚生労働省の事務連絡で、医療機関は2027年3月までに延長されています(薬局は2026年9月で終了)。追加機能は、リフィル処方箋やマイナンバーカードによる電子署名への対応などです。すでに電子処方箋を入れていて、院内処方の機能を足す場合は、別の「電子処方箋の機能拡充の促進事業」の対象になります。申請の手順は、医療機関等向け総合ポータルサイトに載っています。

デジタル化・AI導入補助金は、クリニックで何に使えるのか

中小企業向けの「IT導入補助金」が、名前を変えたものです。事務局に登録された「ITツール」を、登録された支援事業者と一緒に申請します。

項目通常枠の中身
補助率1/2以内。最低賃金の近くで雇う従業員が一定割合いる場合は2/3以内
補助額業務のプロセス1つ以上で5万円以上150万円未満、4つ以上で150万円以上450万円以下
対象の費用ソフトの購入費(必須)、クラウドの利用料(最大2年分)、導入の設定・研修・保守サポートなど
使える場面電子カルテ、予約・問診、会計などのうち、登録されている製品

医療法人や個人の診療所が申請できるか、従業員の数の条件は、公募要領の「対象事業者」で確かめます。入れたい製品がITツールとして登録されていなければ、使えません。製品を決める前に、販売元に登録の有無を聞いておきます。

補助金の前に、何を楽にしたいかを決める

補助金の対象になる製品から選ぶと、院内の困りごととずれることがあります。ソクラクは自院のクリニックを運営しながら、電子カルテ・予約・LINEをつなぐ仕組みを作ってきました。

  • 電話・受付・会計のどこで時間がかかっているかを、先に一緒に洗い出します
  • いまの電子カルテや予約システムを活かして、足りないところだけをつなぎます
  • 補助金を使うかどうかは、その後で決めても遅くありません

医療DX・クリニックの業務効率化について見る

補助金の対象になるかは、制度ごとの公募要領でご確認ください。

都道府県の補助は、何が違うのか

自治体の補助は、国の補助より補助率が高いことがあります。東京都の「診療所診療情報デジタル推進事業」(2026年度)を例にすると、次のとおりです。

項目東京都の例(2026年度)
対象都内で医科診療所を開設する者。これから無床診療所を開く場合も含む。保険医療機関でない診療所は対象外
対象の費用電子カルテの導入(機器・設計・セキュリティ対策・工事)、リース料、ほかのシステムとつなぐ改修
補助補助率3/4。基準額は4床以下で300万円、5床以上は病床数×60.5万円
締切と期限2026年度は5月29日と8月31日が提出期限。交付決定のあとに整備を始め、2027年3月31日までに支払いまで終える
国の補助との関係国や自治体のほかの補助を充てる場合は対象外

2026年度の募集はすでに締め切られていますが、年度ごとに募集されることが多いので、電子カルテの更新を考えているなら、春の募集に間に合うように準備を始めるのが確実です。開業前に電子カルテを選ぶ場合は、クリニックの開業資金の中で、補助が出る時期も含めて資金を組みます。

2027年度からは、何が変わりそうか

厚生労働省は2026年9月に「電子カルテ普及計画」をまとめ、2030年までに電子カルテの普及率をおよそ100%にする目標を掲げました。2027年度から、主に中小病院と医科診療所に向けて、次の支援を行う案が出ています(概算要求の段階で、内容は変わることがあります)。

  • 国が認証した「クラウドネイティブ型」の電子カルテを入れるときの支援
  • 紙カルテと併用できる、医科診療所向けの「導入版」の普及支援
  • 電子カルテを更新するときに、政府の医療DXサービスにつながる製品へ移る支援

電子処方箋の補助も、2027年4月以降は電子カルテと一体で導入を進める形に見直される予定です。電子カルテの更新が近いなら、政府の医療DXサービス(電子処方箋・電子カルテ情報共有サービス)につながるかを、製品選びの条件に入れておくと、次の補助の対象から外れにくくなります。電子カルテとほかのシステムのつなぎ方はクリニックのシステム開発で書いています。

補助金を使うときに、どこでつまずきやすいのか

よくあること先に確かめること
先に契約してしまう交付決定の前に契約・発注した費用は、対象にならないことが多い。申請の順番を確かめてから契約する
併用できなかった同じ費用に国と自治体の補助を重ねられない場合がある。どの補助を使うかを先に決める
対象外の費用が多い保守料や、目的に限られない機器の購入費は対象外になりやすい。見積書を項目ごとに分けてもらう
入金までの資金が足りない補助金は、支払いを終えて実績を報告したあとに入るのが一般的。いったん全額を払える資金を用意する

よくある質問

医療DXの補助金は、開業前のクリニックでも使えますか

制度によります。たとえば東京都の診療所向けの補助は、これから無床診療所を開設する人も対象に含めています。ただし保険医療機関であることが条件です。開業の日程と募集の時期が合うかも、あわせて確かめてください。

電子処方箋の補助は、いつまでに導入すれば受けられますか

医療機関は、2027年3月までの導入が対象です(2026年9月29日の厚生労働省の事務連絡)。2027年4月以降は、電子カルテと一体で導入を進める形で、補助の内容が改めて検討されます。

国の補助と都道府県の補助は、両方受けられますか

同じ費用に重ねて受けることは、できない場合が多いです。東京都の診療所向けの補助も、国や自治体のほかの補助を充てる場合は対象外としています。費用を分けて別々の補助を使えるかは、それぞれの窓口に確かめてください。

補助金はいつ受け取れますか

多くの補助金は、導入して支払いを終え、実績を報告して審査を受けたあとに支払われます。導入の時点では、いったん全額を支払う必要があります。

関連ページ

参考:厚生労働省 事務連絡「令和8年10月以降の電子処方箋の導入補助について」(令和8年9月29日)、厚生労働省「電子カルテ普及計画」(令和8年9月9日)、中小企業基盤整備機構「デジタル化・AI導入補助金2026」通常枠、東京都保健医療局「令和8年度診療所診療情報デジタル推進事業」(いずれも2026年10月26日確認)。補助金の内容は年度や公募回で変わります。申請の前に最新の公募要領をご確認ください。

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