ナースコールの種類は、「どうつなぐか(有線/無線)」「どこで受けるか(親機/PHS・スマホ/業務チャット)」「何で呼ぶか(ボタン/ひも/センサー)」の3つの軸で分けると整理できます。製品のカタログはこの3つが混ざって書かれているので、比べにくくなっています。
この記事では、ナースコールの種類を3つの軸で分け、病院・介護施設・クリニックのそれぞれでどれが合うかを整理します。
ナースコールの種類は、何で分かれるのか
まず全体像です。ナースコールを選ぶときは、この3つの軸をそれぞれ決めていきます。
| 軸 | 選択肢 | 決めるときの問い |
|---|---|---|
| つなぎ方 | 有線式/無線式 | 壁や天井に配線を通せるか。工事の期間を取れるか |
| 受け方 | 親機(表示盤)/PHS・専用端末/スマホ・業務チャット | 呼び出しを受ける人は、詰所にいるのか、動き回っているのか |
| 呼び方 | 押しボタン/ひもスイッチ/センサー連動 | 呼ぶ人は、自分でボタンを押せるか |
加えて、音声で通話できるかどうかも製品によって分かれます。呼び出しを届けるだけの製品と、呼んだ側と受けた側が話せる製品があります。
有線式と無線式は、何が違うのか
| 有線式 | 無線式 | |
|---|---|---|
| 設置 | 壁や天井に配線を通す工事が要る | 配線工事が要らない、または少ない |
| 安定性 | 電波の影響を受けない | 建物の構造(鉄扉・地下・階をまたぐ)で電波が届きにくい場所が出る。中継器で補う |
| レイアウト変更 | 配線の位置に縛られる。変更のたびに工事 | 置き場所を動かしやすい |
| 費用の読みやすさ | 工事費が建物を見ないと出ない | 機器の数で決まるので概算を出しやすい |
| 向いている場所 | 新築・大規模改修の病棟 | 既存の建物での入れ替え、借りている建物、まず一部で試したい施設 |
入れ替えの費用で差が出るのは、ほぼ工事の部分です。費用の内訳はナースコールの入れ替え費用は何で決まるのかで詳しく書きました。
呼び出しは、どこで受けるのがよいのか
受け方は、スタッフの動き方で選びます。
| 受け方 | 向いている現場 | 気をつけること |
|---|---|---|
| 親機(ナースステーションの表示盤) | 詰所に常に人がいる病棟 | 詰所を離れると気づけない |
| PHS・専用端末 | スタッフが動き回りながら通話もしたい病棟 | 端末と構内の通信設備を維持し続ける必要がある |
| スマホ・業務チャット | 少人数で、詰所に人がいない時間がある介護施設やクリニック | 施設のネット回線に依存する。端末の通知設定の管理が要る |
夜勤帯に詰所が空く施設では、呼び出しがスタッフ全員の手元に同時に届くことが効きます。業務連絡にLINE WORKSなどを使っているなら、ナースコールも同じ画面に流すと、見る画面を増やさずに済みます。
呼ぶ側の機器には、どんな種類があるのか
呼び出す側の機器(子機)は、使う人の状態と場所で選びます。
| 子機の種類 | 使う場面 |
|---|---|
| 押しボタン(握り型・据え置き型) | ベッドサイドや居室。自分でボタンを押せる人 |
| ひもスイッチ | トイレ・浴室。床に近い位置からでも引ける |
| 防水型 | 浴室など水がかかる場所 |
| 押す力が弱い人向けのスイッチ | 握る・押す動作が難しい人。軽く触れる、息を吹きかけるなどで反応するもの |
| センサー連動 | ベッドからの離床や転倒のおそれがある人。本人が押さなくても知らせる |
センサー連動は、本人がボタンを押せない場面を補えます。一方で、反応が多すぎるとスタッフが疲れてしまうため、誰に、どの時間帯に使うかを決めてから入れるのが基本です。
病院・介護施設・クリニックで、合う種類はどう違うのか
| 施設 | 合いやすい組み合わせ | 理由 |
|---|---|---|
| 病院(病棟) | 有線式 + PHS・専用端末 + 通話あり | 呼び出しの数が多く、取りこぼしが許されない。多重化と24時間の保守が要件に入る |
| 介護施設 | 無線式 + スマホ・業務チャット + 必要な居室にセンサー | 少人数の夜勤で詰所が空く。居室の追加やレイアウト変更がある |
| クリニック | 無線式 + スマホ・業務チャット | 処置室やリカバリールームなど、呼び出す場所が限られている |
病棟のように一度の取りこぼしも許されない現場では、専用機のメーカーの製品が向いています。逆に、呼び出しが確実に届けば足りる現場で病棟向けの製品を入れると、使わない機能と工事に費用をかけることになります。
工事のいらない無線ナースコールという選択肢
ソクラクのナースコールは、無線式で、呼び出しをLINE WORKS・Slack・Teamsなどの業務ツールに流す種類です。自院のクリニック(鉄扉と地下のある建物)で市販品が合わず、自分たちで組みました。
- 配線工事なし。ボタンは電池式で、1台から導入できます
- 初期費用は10部屋・1フロアで32万円〜、月額は基本利用料1万円+ボタン数に応じた利用料(税別)
- 音声通話はできません。呼び出しを確実に届けることに絞っています
病棟のように通話や多重化が要件に入る場合は、専用機のメーカーをお勧めしています。
種類を選ぶ前に、決めておくことは何か
カタログを比べる前に、次の4つを決めておくと、候補が一気に絞れます。
- 通話が必要か。呼び出しが届けば足りるのか、話して状況を聞く必要があるのか
- 誰が、どこで受けるか。詰所に人がいない時間はあるか
- 建物に手を入れられるか。借りている建物か、工事中も運営を止められないか
- 一度に全部入れ替えるか、一部で試すか
私たちが自院のナースコールを作るまでにどこで詰まったかは、ナースコールを自分たちで作った話に書きました。
よくある質問
無線式のナースコールは、電波が届かないことはありませんか
建物の構造によっては届きにくい場所が出ます。鉄扉や地下、階をまたぐ場所では、中継器を置き足して電波を届かせます。導入前に図面と構造をうかがい、必要な台数を見積もります。
有線式から無線式に入れ替えられますか
入れ替えられます。既存の有線式を残したまま一部の居室で無線式を試し、様子を見てから切り替える方法もあります。配線を新しく通さないため、工事を伴う更新に比べて費用と期間を抑えやすくなります。
スマホで受けるナースコールは、PHSと何が違いますか
スマホで受ける場合は、業務連絡と同じ端末・同じアプリで呼び出しを受けられます。どの部屋から呼ばれたか、誰が対応するかを、そのまま文字で残せます。一方で、施設のネット回線が止まっている間は通知が遅れるため、回線の状態に依存します。
トイレや浴室の呼び出しにも使えますか
使えます。場所ごとにボタンを置き、通知の内容や宛先を分けておくと、受けた側が「どこで何が起きたか」をすぐに判断できます。浴室など水がかかる場所では、防水に対応した機器を選びます。
関連ページ
- 工事不要のナースコール(ソクラクセンサー) — 介護施設・クリニック向け
- ナースコールの入れ替え費用は何で決まるのか — 工事あり・なしの違い
- ナースコールを自分たちで作った話 — 鉄扉と地下のクリニックで
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