クリニック開業の物件の選び方|契約の前に確かめること

クリニック開業の物件選びで一番大事なのは、契約する前に保健所に図面を見せることです。立地や家賃がよくても、診療所の構造設備の基準に合わなければ、追加工事か物件の探し直しになります。開業資金の中で金額が大きく動くのも、物件と内装です。
この記事では、物件の種類ごとの向き不向きと、契約の前に確かめておくことを整理します。

目次

クリニックの物件には、どんな種類があるのか

大きく分けると5つです。どれが正解ということはなく、診療科と資金と開業までの期間で選びます。

物件向いている場合気をつけること
ビルのテナント駅前など人通りのある立地で開きたい電気容量・給排水・エレベーター。ほかのテナントとの関係
医療モール近くの診療科や調剤薬局と患者を分け合いたい同じ診療科が入れない分、診療科の選択肢が限られる
居抜き(前も医院)開業資金と期間を抑えたい前の医院が閉じた理由。設備の古さと、使えるものの見極め
戸建て・土地から駐車場や面積が必要、長く同じ場所でやる建築の期間が加わる。開業資金がいちばん大きい
承継(M&A)患者さんとスタッフごと引き継ぎたい物件だけでなく、診療・人・契約をまとめて見る

承継で開く場合は、物件よりも先に確かめることがあります。クリニックのM&A・承継に3つの型と進め方をまとめました。

契約の前に、何を確かめるのか

物件の契約前に確かめておきたいことを、確かめる相手ごとに並べます。左の列の相手に、契約前に聞きに行くのがポイントです。

確かめる相手確かめること
保健所図面が診療所の構造設備の基準に合うか。診察室・待合・処置室の取り方、エックス線室の遮へい、手洗いの位置など
建築士・建物の管理者用途変更の手続きが要るか。電気容量(機器によっては増設が必要)、給排水、空調、床の荷重
貸主医療用途で使ってよいか。看板の出し方、営業時間、原状回復の範囲
自分たち診療圏の人口と、同じ診療科の数。患者さんの通いやすさ(駅・駐車場・バリアフリー)

建築基準法では、患者さんの収容施設がある診療所(有床)は「特殊建築物」として扱われますが、無床の診療所はこれに当たりません。そのため、テナントを無床の診療所にする場合は、用途変更の確認申請が要らないことが多いです。ただし建物の条件や自治体の運用で変わるため、必ず建築士と管轄の窓口で確かめてください。

診療科で、物件に求めるものはどう変わるのか

物件に求める条件は、置く機器と患者さんの動き方で決まります。

診療科の例物件で効いてくる条件
歯科ユニットごとの給排水と配管、コンプレッサーの置き場所と音
整形外科リハビリの面積、エックス線室、車いすでの出入り
内科・消化器内科内視鏡の洗浄設備、感染症の患者さんを分ける動線
小児科ベビーカーでの出入り、感染症の待合を分ける動線
心療内科・精神科待合で人と顔を合わせにくい配置、出入りの目立たなさ
美容皮膚科・自由診療個室の数、カウンセリングの場所、立地の見え方

機器が多い診療科ほど、内装工事が開業資金を押し上げます。居抜きかスケルトンかで工事費がどう変わるかはクリニックの開業資金の内訳で比べています。

物件を決める前に、ご相談ください

物件の契約と同時に、法人の設計と保健所の手続きを並べて進めると、開業までの期間を縮めやすくなります。契約してから「基準に合わない」と分かるのが、いちばん時間とお金を失うパターンです。

  • 物件の選定・仲介は、医療物件を得意とするパートナー会社をご紹介します
  • 保健所の事前相談に持っていく前に、論点を一緒に整理します
  • 物件・内装・機器のスケジュールを、開業日から逆算して管理します

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候補の物件がある段階でも、まだ探していない段階でも構いません。

物件の契約は、いつするのがよいのか

契約を急ぐと、使えるかどうか分からない物件の家賃を払い続けることになります。遅すぎると、よい物件をほかに取られます。進め方の目安は次のとおりです。

  1. 候補の物件の図面を手に入れる
  2. 保健所に事前相談し、基準に合うか、どこを直せば合うかを確かめる
  3. 建築士に、用途変更や電気容量などの工事の見込みを聞く
  4. 貸主と、医療用途・看板・原状回復の条件を詰める
  5. 工事費の概算が開業資金の枠に収まることを確かめてから契約する

契約から開業までの家賃をどう扱うかも、貸主と交渉できる場合があります。内装工事の期間は家賃をかけずに済む、いわゆるフリーレントがつく物件もあります。開業までの全体の流れはクリニック開業の流れとスケジュールにまとめました。

よくある質問

住居用のマンションの一室でクリニックを開業できますか

建物の管理規約で事業用途が禁止されていることが多く、貸主や管理組合の了承が必要です。保健所の構造設備の基準に合うかも別に確かめます。まず管理規約を確認し、そのうえで保健所に相談してください。

居抜き物件は得ですか

内装と設備が使えれば、開業資金と工事期間を抑えられます。ただし、前の医院と診療科が違うと使えない設備が多くなります。古い設備の更新費用と、前の医院が閉じた理由もあわせて確かめてから判断します。

物件を探すところから手伝ってもらえますか

物件の選定と仲介は、医療物件を得意とするパートナー会社をご紹介します。ご紹介したあとも、法人の設計や保健所の手続きとの兼ね合いを見ながら、全体の進行はソクラクが持ちます。

物件はどのくらいの広さが必要ですか

診療科と、診察室・処置室・待合をいくつ取るかで決まります。同じ診療科でも、ひとりで診るのか複数の医師で診るのかで必要な広さは変わります。想定する1日の患者数と診療の流れから、必要な部屋数を先に決めると、物件の条件が絞れます。

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構造設備の基準と建築の手続きは、自治体ごとの手引きと建物の条件で変わります。物件を契約する前に、管轄の保健所と建築士にご確認ください。

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