ナースコールの入れ替えを検討すると、まず金額の幅の大きさに戸惑うと思います。同じ「入れ替え」でも、見積もりが数十万円のこともあれば、桁がひとつ変わることもあります。
何がその差を作っているのかを、費用の内訳から整理します。見積もりを見比べるときの材料として使ってください。
費用は、4つに分かれています
どの製品でも、かかる費用はだいたいこの4つに分解できます。
| 内訳 | 何の費用か | 見積もりでの読みやすさ |
|---|---|---|
| 機器 | ボタン、親機、中継機、表示灯など | 数量×単価なので読みやすい |
| 工事 | 配線、壁や天井の加工、原状回復 | いちばん読みにくい |
| 初期設定 | 設置、ネットワーク設定、連携設定、動作確認 | 一式でまとめられがち |
| 保守・利用料 | 月々の保守、システム利用料 | 台数や範囲で変わる |
金額の幅を作っているのは、ほぼ工事です。ここが読めるかどうかで、見積もりの性格が変わります。
工事費が読みにくい理由
配線を伴う工事は、建物の状況によって変わります。同じ居室数でも、こうした条件で金額が動きます。
- 配線をどこに通せるか(既存の配管が使えるか、新しく通すか)
- 階をまたぐか、建物が分かれているか
- 天井や壁を開ける必要があるか、開けたあとの復旧はどこまでか
- 営業しながら工事するのか、止められるのか
- 夜間や休日の作業が必要か
建物を見ないと出せない項目が多く、現地調査のあとで金額が動くことがあります。最初の概算と最終見積もりの差が大きくなるのは、たいていここです。
もうひとつ、費用ではありませんが工期も読みにくくなります。工事の日程、その間の運用、復旧まで含めると、検討から稼働まで数ヶ月かかることもあります。
工事をしない場合、何が消えるのか
無線のナースコールを選ぶと、上の4つのうち工事の項目がまるごと消えます。建物に手を入れないので、原状回復も要りません。
残るのは機器・初期設定・保守の3つです。この3つはいずれも数量で決まるので、建物を見る前でも概算が出せます。ここが実務上いちばん大きな違いだと思っています。
ただし条件があります。無線である以上、電波が届く必要があります。地下階、鉄扉、分厚い壁といった構造では、中継機を足して届かせることになります。「工事なし」と「どこでも即使える」は同じではありません。ここは現地の状況を確認したうえで台数を決めます。
実際の内訳の例
参考として、私たちが提供している工事不要のナースコールの内訳を挙げます。他社製品と比べるときの目安にしてください。
| 項目 | 金額 | 考え方 |
|---|---|---|
| ナースコールボタン | 3,000円 / 個 | 居室数ぶん。電池式で配線不要 |
| 中継ハブ | 40,000円 / 台 | 階をまたぐ場合や、電波が届きにくい場所に |
| 初期設定・導入作業 | 250,000円 | 設置、ネットワーク設定、業務ツール連携を含む |
| 基本利用料 | 10,000円 / 月 | 台数によらず一定 |
| 運用保守 | 15,000円〜 / 月 | 台数の区分で変わる。31台以上は個別見積もり |
ボタンは居室数、中継ハブは建物の構造で決まります。この2つが分かれば、初期費用はその場で計算できます。詳しい料金と構成例は料金のページに載せています。
見積もりで確認したい5つのこと
どの製品を選ぶにせよ、次の5点を揃えて聞くと比べやすくなります。
1. 工事費は現地調査の前か、後か
調査前の概算なら、あとで動く前提で見ます。どの条件で動くのかまで聞いておくと、幅が読めます。
2. 原状回復の費用は入っているか
賃貸の建物では、退去時に配線を撤去する費用が発生することがあります。導入時の見積もりには入っていないことが多い項目です。
3. 月々にかかるものが何か
保守料、システム利用料、通信費。名目が分かれていることがあるので、合計でいくらになるかを聞きます。台数が増えたときにどう変わるかも確認します。
4. 増やすとき・減らすときにいくらかかるか
居室を追加したい、部屋の用途を変えたい。あとから動かすときの費用は、導入時にはあまり話に出ません。ここに差が出ます。配線があると工事が再発生しますが、無線なら機器の追加だけで済みます。
5. 使わない機能が含まれていないか
入院病棟向けの製品には、詰所の親機、表示灯、ベッドサイド機器との連携などが標準で入っています。呼び出しが届けば足りる施設では、そのぶんが費用に乗るだけになります。要件を先に削っておくと、比較の土俵が変わります。
よくある質問
有線から無線に替えると、安くなりますか
工事の項目が消えるぶん、初期費用は下がることが多いです。ただし月々の利用料や保守がかかるため、何年で見るかによって総額の比較は変わります。5年、10年といった期間を決めて、初期費用と月額を合わせて比べることをおすすめします。
既存のナースコールを残したまま導入できますか
できます。配線に手を入れないので、既存の設備はそのまま残ります。一部の居室だけ先に無線に替えて、運用に合うか確かめてから広げる、という進め方もできます。切り替えの期間に呼び出しが止まらないのは、無線を選ぶ利点のひとつです。
居室数が多いと、どのくらい変わりますか
無線の場合、ボタンは居室数に比例し、中継ハブは建物の構造で決まります。保守は台数の区分で変わります。一方、配線工事は居室数だけでなく建物の条件に左右されるため、規模が大きくなるほど差が開きやすくなります。
補助金は使えますか
介護分野には、ICT機器の導入を対象とした補助の制度があります。ただし対象になる機器や申請の時期は自治体によって異なり、年度ごとにも変わります。導入を検討する段階で、所管の窓口に確認されることをおすすめします。
最後に
ナースコールの費用は、機器そのものより建物にどう手を入れるかで決まります。逆に言えば、建物に手を入れない選択肢があれば、金額は最初から読めます。
居室数と、階をまたぐかどうか。この2つをお知らせいただければ、概算をその場でお出しできます。
関連ページ
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- クリニックのナースコールを、工事なしで入れ替えた話 — 自院での実践

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